概要(約200文字):2006年初頭、真菌性角膜炎(フザリウムによる)の患者がアジア中心に多数発生(数十例)して原因がコンタクトレンズケア用品関連との意見が増えました。そのためボシュロム社は2006年3月に香港などで「レニュー モイスチャーロック」を販売中止、5月に「レニュー モイスチャーロック」を世界で販売終了とした、という流れです。2014年現在日本で販売中の「レニュー」の主成分は「レニュー モイスチャーロック」成分とは全くの別のものです。
このページの内容
◆2006年、真菌性角膜炎のまとめ
◆2006年、真菌性角膜炎と周辺事情、おおまかに
◆コンタクトケア用品は主犯?
◆今あるコンタクトケア用品
◆日本にちょっと遅れて輸入、は良い事かも
◆アメリカのコンタクト業界も反省
●重要事項●
◎日本で販売中の「レニュー」は「…モイスチャーロック」とまったく別成分です
◎「レニューモイスチャーロック」が真菌性角膜炎の原因と結論できません
◎「レニューモイスチャーロック」以外でも真菌性角膜炎は発生
◎「レニューモイスチャーロック」は日本で未発売
◎「レニュー」の主成分はポリヘキサニド。類似品はコンプリート、バイオクレンなど。
◎「レニューモイスチャーロック」の主成分はアレキシジン
(製品名が似ているのに主成分がまったく別。混乱に注意しましょう)
●できごと。年月日順●
2006年3月…
角膜真菌症の患者が東南アジアで多く発生
2006年3月…
シンガポールと香港で「レニューモイスチャーロック」販売中止
2006年4月13日
ボシュロムは米国内で「レニュー モイスチャーロック」自主回収
2006年5月15日
ボシュロムは世界で「レニュー モイスチャーロック」販売終了
2006年、真菌性角膜炎と周辺事情、おおまかに
2006年、 |
◆コンタクトケア用品は主犯なのか?
病気の原因はひとつじゃありません。「これが原因菌!」と特定されるとは限りません。食中毒でも、原因不明はよくあります。 |
◆今あるコンタクトケア用品
ソフトタイプのコンタクト向け消毒ケア用品には、 |
◆ちょっと遅れて輸入、は良い事かも
コンタクトレンズも含めて、医療用品というのは、ヨーロッパ、アメリカより半年や1年遅れで日本発売される事が多いですが、「遅くなって不便」という欠点以上に、「遅れたために改良された」という利点が大きかった事例が、眼科でいくつかあります。 |
◆アメリカのコンタクト業界も反省
アメリカのコンタクトケア用品は「消費者に、こびる」傾向が強いです。企業が主役、病院は脇役というバランスの米国医療界だとコンタクトケア用品会社は「こすらなくてオッケー!これで汚れもばっちり落ちる」というアピールをするんです。 |
◆用語 真菌性角膜炎 と角膜真菌症 今回の報道でも、眼科医の説明でも、真菌性角膜炎 fungal keratitis、 角膜真菌症 keratomycosis の言葉が両方使われています。検索は両方の言葉でどうぞ。 |
秋田市カジノ眼科医院の梶野公靖医師の文章にも詳細に書かれています。
「フザリウム菌角膜炎に就いて、CDCから発表された最終報告書(Final Report)を読んで。」
(06.3.15作成、06.05.18更新。)
(2014年、追記。ボシュロム社の対処を批判する狙いはありません。むしろボシュロム社の2006年当時の製品回収対応は良いやりかたと感じています。レニューモイスチャーロック自身には細菌も真菌も混入してなかったことがほぼ証明されています。感染症の発生がおきたとき、医師、厚労省、店舗、などがどう対処すればよいのかの資料として食品業界、医療業界で今後に役立ててもらうと良いと考えます。)
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