今日は眼科の講演をききながら、名医ってなんだ、というのを考えてみました。(単に、有名な医者が名医なんですよというアッサリした解釈もありますが)新聞テレビが求めている名医の姿というのはどうも「診断は:間違えない。 治療すれば:かならず病気を治しきる。 燃える情熱で24時間仕事に没頭」こういった姿を求めているように感じています。そして現実の病院で「誤診をした、治療しても病気がなおらなかった」という結果に出会うと「あの医者はヤブだ!」という評価がくだされるようです。しかし医療の現場に(医療事務員なり看護士として)1年でも接していれば「誤診のない医師、かならず病気を治す医師」というのは空想上の動物だという事がわかるわけで、誰がとりくんでも治らない病気に医療労働者たちはほぼ毎日接しているわけです。じゃあ何が本当の名医に近い姿なのか、というのをじっくり考えると「診断は:誤診もあるが誤診に早く気づいて早く方針変更をできる医師」ではないかと思います。(参考に誤診について(Dr町田のページ)。東大の教授が自らの誤診率を約十四%と発表した事を紹介)(2005年アメリカでは、がん患者の12%が初期段階で誤診されていると病理学的に指摘。Cancer誌 英文記事Clinical impact and frequency of anatomic pathology errors in cancer diagnoses / Stephen S. Raab)腹痛でも頭痛でも初日に診断がつかない事はちっとも珍しく有りませんし、治療の途中で診断が違っていた事に気づくのは医療の世界では避けられない事です。しかしその間違いにいつ気づくかという所に医師の力の差が出てくるとは思います。そして治療の力。「ここまでは治せそうだが、それ以上はできない」という限界を知っているのが有能な医師というものです。「胃がんを100パーセントなおすザイゼン医師!」というのを作ろうとするなら「あらかじめ患者を選別して、なおせそうな患者だけをザイゼン医師に紹介しよう」という仕組みを作れば実現できるんですけどね。
なおネットで「名医」を探すと百人百様の「名医」像があるみたいです。「よい病院、よい医院とは」(整形外科医師のサイト)、「ふたたび、名医とは?」(精神科医師のブログ)、「名医とは」(循環器内科医師のブログ)、などがためになります。
コメント
名医、患者もしくはその家族を納得させてくれる医者だと思っています。
コメントありがとうございます。
確かに納得って大事な要素なんですよ。
「病気はよくならなかった。でも患者は納得した」
というのもひとつの「正しい治療」。
ただし同じ事をやっても患者10人のうち一人は
「納得できない!」という人がいるわけで。
そこは10人に10通りの説明が必要ということかもしれません。
誤診は当然あり得ることと思いましょう。
お医者様個人に過度の責任を押しつけるような患者側の考え方は、
訴訟天国への階段のようにも感じます。
乱暴なたとえですが、病気が治らずお医者様を責めるというのは、
訴訟に負けて弁護士を訴えるようなものかと。
セカンドオピニオンなど使わせていただいて、誤診を回避しましょう。
セカンドオピニオンを快く思わないお医者様は名医ではない確率が
高いのでそこでお別れしましょう(*^-^)
コメントありがとうございます。
訴訟天国、こわいですねえ。医療に限らず
訴訟が増えすぎると社会のためになりませんから。
ここで本格的にセカンドオピニオンの話に
入るとこれまた長くなるのですが
http://www7.plala.or.jp/machikun/secondopinion.htm
「ドクターショッピングとセカンドオピニオンの違い」
あたりもちょっとためになりますので
おヒマなら読んでみてください。